圧倒的な孤独を手懐ける

島に移住してから4ヶ月が経とうとしている。思い描いていた理想の生活とかけ離れているわけではないが、圧倒的に足りないのが友達だ。シェアハウスに住めば解決することだと思っていたが、コロナ禍の影響もあり人の出入りがまったくない。島で行われるイベントも軒並み中止である。仕事も一人だし、ご飯を食べるのも、ドライブに行くのも一人だ。

マッチングアプリも同時並行で試しているが、出会いより先に疲弊が来るようになってしまった。新しいマッチングサービスを作ったほうが楽なのではないかと思い、今はそれを計画したりしなかったりしている。

そんなこんなで、移住してからは圧倒的な孤独とずっと戦っていた。観光に遊びに行くのも、ご飯を食べに行くのも、一人では体験を共有できず悶々とする。身の回りでも、SNSの向こう側でも、友達や恋人と一緒に過ごす人の投稿が目につく。みんながみんなが一人なら納得行くが、自分だけが一人という状況が切ない。そもそも人間なんて一人で生きられるものじゃないから、バグっているのはこっちだという事実が余計に切なさを増幅させる。

孤独を逃れるために、友達を作ろう、恋人を作ろう、といろいろなことを考えてみたが、結果としてこれはどうにもならないというところに落ち着いた。孤独から逃れるのではなく、孤独を手懐けることで、とりあえず今の状況が良くなるまでは待ってみよう、という作戦だ。孤独から逃れるためには知らない人に声をかけたり、思い切った人をかけてみたりと、けっこうなエネルギーがいるが、手懐けることでエネルギーを節約することができる。ここに落ち着くまでに3ヶ月以上かかり、一時期は孤独をこじらせてだいぶ病んでいたと思う。

孤独を手懐ける方法は、孤独であってもそれを忘れるほどなにかに没頭したり、心を空っぽにする、ということだ。こうしてブログを書いている時間も、孤独は自分の心を侵食していない。音楽を作っている時間も孤独を忘れるほど熱中するし、焚き火をしている時間は孤独はあれどもそれを変に悲しむことはない。孤独と上手に付き合う方法がこの歳になってようやくわかってきた気がする。孤独を恐れて何もできない状況が続くと、本当に何も状況が変わらないので、少しでもできることを進めて状況が好転するそのときを虎視眈々と狙いたい。