お昼の挨拶はお昼ですっていうんですか?

予想の範囲外の世界に連れて行ってくれる人が好きだ。自分はフットワークも軽く冒険的な人・・・なんて思い込んでいたけど、実はけっこう保守的で、世界を広げてくれるのは常に他人だった。

以前、超性格診断というサービスで診断した際に、あなたが恋に落ちるフレーズは「一緒にバンジージャンプ飛びませんか?」という一言だった。これは非常に的を得ていると思った。怖かったり、面倒だったり、自分ひとりではやる機会のないことに、他人を通してきっかけを与えられる。この人と一緒にいたら人生ずっと飽きずにわくわくしていられるかもしれない、そんな希望を抱く。

自分の「予想の範囲外」というのは、行動のことだけではない。言動に関しても予想外が好きだ。自分のなかの常識にヒビが入って、新しい光が入り込んでくるような心地よささえ覚える。

東北・北海道の夕方〜夜の挨拶で「お晩です」というものがある。新潟出身の自分もなんとなく使ってしまうキュートな挨拶であるが、それを先日知り合った女性との電話で使ってみた。

私「お晩です」
西「お晩ですってなんですか?」
私「こんばんはですね、東北とかの方言です」
西「そしたらお昼の挨拶はお昼ですっていうんですか?」

お昼です・・・お昼です・・・!わたしは防御力が低いので、この会心の一撃でだいぶHPを削られた。普段あんまりくすくす笑わない自分が、面白さと嬉しさで、しばらくの間笑ってしまっていた。もうこの人には敵わないなと思い、素直な気持ちを伝える。

私「__さんには敵わないです」
西「敵う、敵わないじゃない。叶えるんです!」
私「いやそれ漢字変わってますよね?!」

びわたしは会心の一撃を食らう。言葉遊びの達人の前に戦意喪失し、完全に会話のペースを持っていかれる。それと同時に、予想の範囲外の世界の連れて行ってくれる彼女に一気に惹かれてしまった。会話の内容は逐一覚えていないが、あっという間に2時間ほど過ぎ、なんとも言えぬ多幸感に包まれて眠りについた。